ナイトクローラー レビュー

Netflixレビュー

OKいい映画だ。

10/9点

確かに好みは分かれるかもしれない。主人公が好きになれない人も多いだろうし、若干最後の展開が無理矢理だったかもしれない。でも僕個人としては大当たり。アカデミー賞脚本賞に選ばれたのも納得だけれど、主演のジェイク・ギレンホールの芝居も素晴らしかった。以下、ネタバレありでレビューしていこうと思う。

 

 

まず脚本について。映画のセリフでは直接言及されていないけれど、これは第三者的な立場である僕ら視聴者にもメッセージを投げかけているって所がポイントなのではないかと思う。主人公ルイスの行動は現代倫理的に問題があり、多くは違法で、一般論で言う正義とはかけ離れた哲学・思想を持っている訳だけれど、彼の納品する映像を消費しているのは僕ら大衆なのだ。やや、「オレはこうゆうニュースは見ない」っていう人もいるかもしれないけれど、とりあえず映画の中では彼の撮る過激な映像は視聴率を上げているって事になっていて、現実社会の状況もそれほど変わらないと思う。

なので僕らの立場からも、敢えて言うならば彼の行動に責任があり、共犯者と行ってしまえば大袈裟かもしれないけれど、少なくとも無関係ではない。ここを直接的に言わない所がこの映画の格好いい所だよね。「ルイスのやってる事、違法じゃん!この映画は糞だ。」と単格的に考えてしまうのは少し安易なのではないかと思う。

あと個人的には、こういった法律や倫理よりも自身の考えを優先するっていうパターンが結構好きだったりする。今自分自身が持っている正義感とか倫理観というのはあくまでも現代社会に適応するために最適化された物に過ぎないっていうのを改めて気づかせてくれるんだよね。

よいカットも多い。序盤にルイスがシャツにアイロンを掛けながら、くだらないテレビ番組を見て笑うっていうシーンがあるのだけれど、このシーンが後半にも効いてくる。アメリカの話で言うと、テレビっていうのは低所得者の象徴っていうのがあるんだよな。特にブロードチャンネル。金持ちはケーブルテレビか、今はネット回線のコンテンツ(Netflixとか)を見てるのかもしれない。つまり低所得者の象徴であるテレビに対して、逆にコンテンツを提供する側になっていくという展開が、この序盤のアイロン掛けシーンで作られているんだよな。

あとこれも映画中では直接触れないけれど、ルイスはなんで落ちぶれちゃってたんだろうね。僕の予想だとうつ病とか学校でのイジメとかでエリートコースから外れちゃった的な過去だと思うんだけど、この辺も実はメッセージ性が高い。一旦落ちぶれちゃうと低所得層からなかなか抜け出せないっていう社会問題を皮肉っている節があるよね。ルイスが最初に「僕を雇って下さい、熱意があるし、向上心もあります」って産廃業者(?)の人に言ってたけど、アレはポーズじゃなくて本当だよね。部下のリックみたいにアホキャラな訳じゃないし、普通に頭のいい白人男性な訳だよね。その彼でも、なかなか職に在りつけないという状況。アメリカだと結構こうゆう人、多いんじゃないかな。日本だと普通にニートになる場合が多いと思うけど。

なかなかパパラッチの立場になって作るストーリーというのは難しかったのではないかと思うよ。正直僕もそうだけど、ざっくり9割以上の人はパパラッチは悪として捉えているんじゃないかな。(ダイアナ妃の事件が決定的だった)なのでこの映画は非常に挑戦的であり、勇気のある企画だったと思う。この記事の最初に「主人公が好きになれない人も多いだろう」と書いたけれど、おそらく企画の段階で明確に予想出来たと思う。それでも撮りたかったんだね〜。すごいね。